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■「スズメの学校(仮)」にて、会場にお越しいただいた方から
Q&Aを頂いていたのですが、あまり読めずに終わってしまいました。
これでは申し訳ありませんので、
浅井一人ではありますが、こちらでお答えしていこうかと思います。
被っている質問もありますので、抜粋になりますが。
※●が質問、◯が浅井からの回答です。
●これ、自分がやりたかったー、という原型や企画はありますか?
◯参加したかった、というケースはあまり無いです。
これくらい上手く作れる自分でありたかった、という能力への羨望はままあります。
これくらい上手く作れる自分でありたかった、という能力への羨望はままあります。
●原型の構想段階から完成までの製作過程の写真などがみたいです。
◯納品時か、バランス確認用くらいでしか写真を撮らないのです。
バランス確認用の写真は、バランスが悪いから撮って確認してみる、というものですので、ちょっとお見せできるようなものでは無く、クライアントさんのご迷惑にもなってしまいますので…。
バランス確認用の写真は、バランスが悪いから撮って確認してみる、というものですので、ちょっとお見せできるようなものでは無く、クライアントさんのご迷惑にもなってしまいますので…。
●原型を担当された完成品フィギュアにサインをいただくことは可能でしょうか?
◯会場でもお答えしましたが、何度か経験はあります。お断りした事はありませんが、毎回表記が変わってしまうような、適当なもので宜しければ。
●figmaプラレス三四郎の桜姫は華奢な体型なのに、自立できるほどバランスが良くて驚きました。原型制作時にそこまでこだわって作られているのでしょうか?
◯こちらも会場でお答えしましたが、自立出来る事と造形としてのバランスの良さは、実はあまり関連がありません。人間が立っている時も、全身の筋肉を使って常に補正をかけています。この補正をかけ続けている状態を「立っている」とすれば、フィギュアは「置いている」に過ぎません。人間は「立っている」状態が、比較的に楽な態勢として進化してきた生き物ですので、桜姫のようにプロポーションがほぼ人間と同じ配分であるキャラクターならば「立っている」状態で「置いておける」ように作る事は、人間の形を覚えてしまえば難しくありません。
(金属素材を使っているとか、材質的な重量差がある場合は話が変わります)
時折、ハイキックなどのポーズで自立が出来る=バランスが良い、的な表記を見る事がありますが、ハイキックの態勢で静止できる人間は多くありません。それが出来るのは鍛えた人間だけで、一般的な範疇から見れば、できる方が不自然です。それは製品としてのバランスが良いのであって、造形の形状部分とは無関係かと考えます。
●モチベーションの保ち方、また自分自身に活を入れる方法を教えてください
◯これは僕も常に悩んでいる事です。日々の行動を記録して、サボってしまった時間を把握したり、インターバルタイマーを常備したり、色々試すのですが、ある程度続けるとそれにも慣れてしまうのが難しいです。最近効果があったのは、一時間ごとに時刻を読みあげてくれる時報ソフトが有効でした。時間感覚を強制的に補正してくれます。
●初心に戻って原型師になったきっかけとか
◯雑誌で見てその気になったとか、その程度の思いつきだったと思います。なりたいと思ってすぐにメーカー回りを始めたもので、具体的なきっかけは忘れてしまいました。きっかけよりも成り方を知る過程で覚悟を決めていった感じかと。
ただ、プラモブームに幼少期を過ごした事、ガレージキットを扱うショップ、メーカーが実家の近くにあった事は、原型で飯を食う事が不自然な事では無いと刷り込んでいたかと思います。
●私は靴の卸売業をしているのですが、靴は職人が手作業で作る物ですので、木型もあり、足に合う、合わないがあります。お客さんと話をしていると気づくのが、そういう合う合わないをハッキリと言わない販売員が意外と多いという事。つまり、合わない靴を店員のススメではいている人があまりに多いのです。
もちろん商売ですからバカ正直にやっていては利益が出ません。かといって消費者のニーズが細分化し、従来のただモノを売っていくスタイルのお客様への接し方では顧客はついてきません。私はそこをハッキリといいます。合わないモノは合わないと。
ただ先日それが原因で売り上げを落とした事があり、上司に叱責されてしまいました。
合わない靴を合ってるといって、ただ目先の売上を追うだけの販売方法に了と言えない自分は壁にぶつかって葛藤しています(笑)合わないとわかってて買われる方もいますが。私は靴職人が作り上げた靴を売る技術を持つ職人と自負を持って仕事をしています。
今回のスズメの学校で何らかのヒントが得られればと思っています。よろしくお願いします。
◯靴の事は詳しくありませんが、僕が客である時の思考と、送り手としての思考から考えて書きますね。
僕は普段から、ラバーソールのごっつい靴を履いています。日本では在庫をあまり見かけないブランドなので、海外から通販で買うことも少なくありません。そういった靴ですので、重く、小柄な僕の身体に合うものではありません。それでも僕はその靴を履き続け、買い続けています。身体に合わなくとも、その靴が好きだという、僕の趣味、心に合うからです。身体には合っても、心に合わない靴は、正直に言って履きたくありません。
では、身体に合わない靴でも売ってくれる靴屋をただ信用しているのか、と言えばそういう事ではありません。僕がいつも相談させてもらう靴屋さんは、僕の身体には合わない靴を身体に合わせる方法を考えてくれる、もしくは、身体に合う靴で、僕の趣味にも合う靴を探してくれる靴屋さんです。
海外通販で買った身体に合わない靴を身体に合わせる為や、その修理をする為に、相談に乗ってくれる靴屋さん(修理メイン)に、僕は安心してお金を使えます。こういう靴が好きなんです、という話を聞いてくれた上で、この靴ならどうだ、この靴ならこういう加工をすれば今より履きやすくなる、と教えてくれる靴屋さん(販売メイン)で、僕は靴を買いたくなります。無制限にお金をかける事は出来ませんが、何にいくらお金がかかるのか、何をすればどのくらい履きやすくなるのか、上手く説明してくれる靴屋さんとなら、お願いするにしろ、諦めるにしろ、納得できるんです。
質問者さんのご質問からは「身体に合う」を大事にされているように感じました。お客さんの「心に合う」と「身体に合う」を如何に両立させられるように考えてゆくかが、僕も含めた企画者、販売者として考え続けなければならないことかな、と思っています。
●一番練習していた時期、一日どれくらい作業されていましたか
◯睡眠時間以外は全てでしょうか。若い頃は今より集中力がありましたので、気がついたら20時間とかはザラでした。今は全然集中が保ちません。
●造型を行う上でのクセとか、こういう風な作り方が好き、といった造型上の好みについてお聞きできたら嬉しいです。
◯彫刻と影だけで見せられる情報量の造形は好きです。ただこれはキャラクターフィギュアとして不向きで、生産にも向いていませんので、フィギュア原型師としては良くないのかもしれません。両立させられるBUBBAさんとかは凄いと思ってます。
●作業をしていて一番辛い瞬間はどんな状況でしょうか?逆に一番幸せな瞬間は??
◯辛いのは上手く出来ない時、幸せなのは上手く出来た時ですね。その繰り返しです。
●制作にあたってラフスケッチを描くのなら拝見させて欲しいです
◯絵は描けないのです。下手なもので、描くとむしろイメージが小さくなってしまって。でもこのままではいけないので、最近ノルマとして、毎日描くようにしています。下手すぎて毎日凹んでます。
●この職について良かったこと。嫌だったこと。
◯嫌だった事は、アニメや漫画も含めたオタク的な業界の中で、長らく底辺の扱いを受けてきた事。全般の売上が落ちる中で、結果的に地位向上したかのような扱いになりましたが、それでもやはり軽んじられる立場です。良かった事は、それでもまだ諦めずに居られる事。
●行き詰まり感ばかりが蔓延する現代をアクティブに生き抜いて行くには何が一番大切と考えますか」
◯話がデカい(笑) やれる努力は全部やる。やりたい努力だけではなくて。とかじゃないでしょうか。原型師だから製造は知らない、営業は知らない、というスタンスでは無く「立体作って立体量産して立体売って喜んでもらって始めて御飯が食べられる業界の一片」として。
●売れなかった(認められなかった時代、どう自分を鼓舞していましたか?
◯悔しく無いならやめちゃえ。悔しいなら何でもやれ。悪いのは常に弱い自分。これは今も言い聞かせてる言葉です。
●今、造形が伸び悩んでいる人、売れずに落ち込んでいる人へ何かお言葉を。
◯自分の理想とする造形に辿りつけない、という意味なら、技術を磨く事を頑張って下さい。売れずに落ち込んでいるなら、売れるフィギュアは何か研究してください。でも、自分の理想とするものを頑張ったら=売れるはず、という考えは幻想です。その両方が合致している人も居ますが、それはその人の幸運な才能であって、自分の理想とユーザーの理想は多くの場合乖離しています。納得いかなくても、擦り合わせる努力を何年もやっていると見えてくるものもあると思いますよ。
●原型にもデジタル化が波及していますがフィギュアの顔やカーモデルには忠実さだけでなく完成時サイズに合わせたデフォルメが不可欠に思います。
現状はモニター平面上で行っている製作を今後立体視できれば両眼視差や誇張も取り込んだ、PCモデリングが主流となって行くでしょうか?
●原型師に必要なものや、原型を作る際にどこに気を付けて造形されているのか、どうやって魅力ある造形物に仕上げるのかをお聞きしたいです。3DCGをやっているのですが、CGばかりになりつつあり、実際に触れる造形物を作っていきたいと思っておりますが、なかなかうまくいきません。造形が好きなのでワンフェスにも参加していたことはあるのですが、技術的な問題もあり、今はCGだけになってしまい、何とか触れる造形にも少しだけでも戻りたいと思っています。
◯僕も今実験中ですが、デジタルで造形する場合、表示パースは大きな問題となります。これはパースを変更すれば解決できると言うものだけでは無く、1/6サイズで出力した場合と、1/12で出力した場合でも、大きく印象が異なります。極端な話をすれば、見る人の眼球の離れ具合、見る距離でも印象が異なります。ですから現状では、作ったデータは極力すぐに出力、その出力品を見てデータを修正、という作業を繰り返し、原型として使うには大体このあたりがベター、という落とし所を探している所です(浅井の場合です)。
また、パースの問題以外にもCGとしては非常によく出来ていると思えたデータが、出力してみるとイマイチ、なんてケースも少なからずあります。これも作っては出力する工程を繰り返すと、大体落とし所が見えてくるように思います。現時点で「こうすれば良い」とは言えませんが、CGモデラーさんと、デジタル原型師は、実際の作業工程は似ていても、求められる技能は意外と違うものなのでは無いかと、最近感じています。
●社会人モデラーからプロになると言うことについて、なにか語ってください。収入、生活、習慣など
◯プロと言っても、社員として原型作業に携わる事と、フリーで原型仕事を受注する立場では、求められる事が全く違います。共通して求められるのは、結局コミュニケーション能力だと思いますが、とりわけフリーの方は、自営業者としての振る舞いがそのまま収入に直結するのでは、と思います。天才的な造形技能でウハウハ、みたいなケースがゼロとは言いませんが、結局仕事を得られるか否かは、本人の信用に拠るものなので。
●ワンフェス☆ニジュウはとても楽しいイベントでした。あのときに配布された、ワンダーフェスティバルの歴史をおふたりがまとめた冊子の出来も素晴らしいものでした。
あれからさらに5年たったワンフェスの変遷を、またいつか何らかの形で解説、回顧して頂けるような機会があれば嬉しいです。
◯ありがとうございます。実はあれから5(6)年が、一番記憶に無いワンフェスかも知れません。これは印象が薄いというよりも、まだ振り返る余裕が無い、という事だと思います。また一段落したら振り返ろうと思います。
●フィギュア原型の表面処理につきまして。せっかく作ったディテイルを消したり、エッジ鈍らせたりしないように表面処理をする為の効果的なテクニックがありましたら、教えてください。
◯地道にやるしか無いんじゃないですかねぇ…。昔と比べれば、FG等で公開されているテクニックは大変有益だと思います。僕らの場合は、繊細に彫っても金型で再現出来なければ意味がありませんし、塗装の方が製品として綺麗に出るなら、ディティールも潰すという選択肢になりますので、レジンキットの方法論とは少し変わってきます。
●今年"これは良い物買ったなぁ"という物はありますか?
●ありきたりですが、最近感動したこと・モノ。
◯ホットトイズのスーパーマン。顔が似ているのはいつもながらですが、なぜクリストファー・リーブが自分の中でスーパーマンのベストイメージたりえるのか、という事に納得が行った一品でした。リターンズのブランドン・ラウスもクラーク・ケントとして悪くないですし、マン・オブ・スティールのヘンリー・カヴィル版もムキムキですごい身体なんですけど、クリストファー・リーブの鳩胸、首、太もも、細い手首足首、最近のマッチョとは違う「昔のイカツイ身体」感が、自分にとってのスーパーマンなのだと思い知りました。そう思わせてくれたホットトイズにチューしたい。パッケージの馬鹿さも最高。でも孤独の要塞がベースに刺さんない。
●作業中に決まってする事などありますか?(コーヒーを飲む、音楽を流す、映画を流す等) 音楽で作業中に聴くものがあればお勧めを教えて頂けると嬉しいです。(テンションがあがるような)
◯顔やデザイン、原稿作業の時は無音、それ以外の作業時は撮り貯めた録画番組を流してます。でも好きな番組は画面をきちんと見たいので溜まりがち。仮面ライダーとかは大概溜まります。あと、一工程終わる毎に記録を付けて、架空の上司に報告すると「もっと仕事しよう」と思えたり、思えなかったり。
●この企画への意気込みをw
◯そもそもが依頼なので意気込みは無かったのですが(笑)、折角足を運んでくれる人に「来てよかったな」と思ってもらえるようにしたいです。個人的には寒河江さんとまた何かやりたい、というのが大きかったので、延長戦が楽しかったです。
●最近気になる人がいたら教えて欲しいです。
◯原型師だとケミカルアタックの坂本洋一さん。実は既に何度もお会いしているのですけど。可動だと山口勝久さん以来の衝撃でした。最近発表物が多くて嬉しくも悔しいです。
あと、先日友人の家でモーニング娘。のPV集が流れてたんですが「ふるさと」の時のなっちの可愛さにテンション上がりました。
●原型師としての今後の展望、、というか、生き残り術!
◯ガレージキットの時は、原型師の要素が内容の8割を決めました。完成品フィギュアだと3割くらいでは無いかと思います。今後その割合は更に減るかもしれません。フリーの立場で独自にやれる幅は狭まってゆく可能性が高いですが、自分に何が出来るのか、自分に出来る事は何に使えるのか、それを使って新たに出来る事は何か、模索し続けるしか無いと思います。
●食べていけるまで何をしていたか・就職について 原型師を目指せるのか
◯僕は食えるまでバイトしてました。原型師になるのは難しくありません。イベントでレジンキットでも出せば一応原型師ですし、一定の技術とコミュニケーション能力があればメーカーへの就職、下請けなど、それなりに仕事は取れます。ただ、就職先としてどうかと聞かれれば、現状ではあまりお薦め出来ない業種です。
●趣味的なディーラーとして活動していますが、マイナーでも自分の作りたいものを作るべきか、多くの方に見ていただけるジャンルを作るべきか、で悩んでます。
◯作りたいものを作った時の満足感と、多くの方が見てくれた時の満足感、趣味的にやっているのであれば、どちらを選ぶ事も悪い事では無いと思います。ただ、今までやってこなかった事をやってみると、新しく見えてくるものもありますよ。自分はこれが好きだ、自分はこれを嬉しく思う、という感情も思い込みだったりしますから。
●1作品辺りの開始から完成までのおおよその時間
◯原型によったバラつきがありますので、時間の算定は難しいですね。別の作業に忙殺されて触れなかった、という意味で時間のかかっているアイテムは多いですが、一つの原型に集中しているのに数ヶ月というのはあまり無いと思います。そういう時間のかかり方をした原型は、思い入れだけが肥大して内容は良くなかったりしますし。
●可動フィギュアが各社から出ていますがメーカーの枠を超えたコラボとか実現できない物ですかね?
◯メリットがあれば各社さんやられると思うのですが、あまり見かけないという事はメリットが見えないって事でしょうかね。僕も版権の貸し借り以外では、あまり現実的なメリットが思いつきません。何だか盛り上がって見える、というのはあると思いますが。
●スクラッチ・自作等していて、細長いプラ棒・プラパイプ等で、すこしテーパーがついたようなパーツ(マクロスのグラージの砲塔のような)が欲しい時、なにかいい自作法や流用パーツはありますでしょうか?短いテーパー状円柱ならモーターツール等を使って自作したり市販のバーニアパーツ等を流用できるのですが細長いものとなると、なかなかうまくいかなくて…。
◯僕が昔使っていたのは、釣竿を自作するための棒です。地元のホームセンターで、千円位で販売していましたが、まだあるものなのかはわかりません。無ければ、子供用の安売りしている釣竿等をバラしても良いかもしれません。
●戦闘機キットの翼などにある、こまかい(細い)「凸モールド」を、うまく復活ないし自作する良い方法はなにかありますでしょうか?
◯古いキットに見られる凸彫りのパネルラインの事でしょうか?あれは金型の都合なので、僕の場合は全部凹モールドに彫り直していましたが、昔はモノグラムのキットだけは残す、みたいな方も居られましたね。磨く前にマスキングテープで養生させる方法はありますが、復活させるのは難しいんじゃないでしょうか。
●原型作成する際にはどこから(どこを基準として)作成を始めますか?
◯普通のフィギュアだと顔からです。可動フィギュアだと関節のサイズや強度から逆算する事があるのでまちまちですが、胸からが多いでしょうか。
●原型を作る時、明確なビジョンが出来てる状態で作り始めますか?
◯出来ているつもりで始めますが、大概出来ておらず、作っている最中で悩みに陥る事が多いです。
●自分しか使ってないだろうけどものすごく便利、というような道具はありますか?
◯自分しか使っていない、というような特殊なものは無いですが、スジボリ堂さんの工具、材料は関心させられるものが多かったです。妙な工具を試すのが好きなので色んなものを買うのですが、スジボリ堂さんで買ったものは「使えるな」と感じた割合が多かったです。
●イベント売りのキットに軟質パーツをつけたいのですが、お勧め又はいい方法はありますでしょうか?
◯僕も悩んだ末、ソフビになりました。でも少数販売には厳しいですよね。
シリコン素材や、軟質レジン等もありますが、量産性や耐久性を考えると難しいですね。10個くらいまでであれば、シリコン素材にトナーを混ぜて形成、というのが安定だと思います。形状や色に限界はありますが、熱収縮チューブだと量産性も悪くはありません。
●「締め切りあってこそのプロ」という概念を、駆け出しの時にどう学んだかを是非お聞きしたい。
◯いつ、どう学んだのか、その過程は覚えていませんが…。僕は、学習と恐怖は同じものという思想を持っています。「守らなかったら酷い目にあわせるぞ」と言うような脅しは最低のやり方ですが、出来なかった結果がどういう影響を生むのか、事実を淡々と見せられるだけでも、失敗は重くのしかかりますし、それを繰り返せば、自分は必要とされなくなる、という事は学びます。
それを学べない人は甘やかされた子供と変わりませんし、受け入れたく無いが為に、自身の痛みを声高に喧伝して武器とする人は爆弾と同じです。才能があろうがなかろうが、それで被害を受ける人達の方が余程大きなダメージですから、僕ならば関わりを断ちますし、自分がそういう人になりたくない、という意識を、恐怖として自分の中に刻むようにしています。
(「悪影響を出さないように」努力するか「その悪影響を払拭するくらいの結果を出せる」ように努力するか、それは個人の資質によると思いますし、どちらも間違いではありませんが、発注側が求める努力とは違う事は多々あります。それは見極める事も、管理者としてのスキルが求められるのでしょうが。)
勿論、無理なスケジュールを強要させる為に用いる話ではありません。それを行う人は、締め切りを設定する側の人が見限られます。
●原型師さんご自身が「これやりたい!」と言って始めた企画が、原型師さんの納期遅れで壊れていく現実。どうしたら原型師さんに納期を守ってもらえるのでしょうか?(笑)
◯現地でもお答えした質問ですが、より具体的に。
◯現地でもお答えした質問ですが、より具体的に。
こういう場合コミュニケーションが重要だと思います。
自分からやりたいと申し出たものは、依頼として受けたものより拘りが強いものである事が多いでしょう。そうなると当人にとっては、拘り>納期になりがちです。しかし傍からは、自分でやりたいと言ったくらいなのだから、きっときっちり上がってくるだろう、と思ってしまいます。やりたい事とやれる事は、実は相反するものである事が多いのです。「やりたい」という意思を重視するならば待つ事になりますし、「納期」を重視するならば、もう取り上げた方が良いです。僕は出版社さんとのお付き合いが少なからずありますが、ここを上手くコントロール出来る人が、原稿の取れる編集者なんだな、と感じることが多々あります。やりたい、という意思を萎えさせず、企画と相対させ続けるように自然にコントロールするような人ですね。作業として、やれば終わる仕事はともかく、個人の作家性を必要とする仕事では、依頼=回収の間に多くのタームを必要とする、という事なのでしょう。
もっとも、原型師という仕事にそれが許されるのか、そこまでして原型師のやりたい事を優先させるべきなのか、というのはまったく別の話です。
あくまで、質問者さんが原型師のやりたい事や作家性を優先させながら納期も守らせたい、という事なのであれば、そのコントロールも含めて、質問者さんの仕事になるのだと思います。
●原型師の未来
◯明るくしたいですね。
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