寒河江弘さんとのこと。 忍者ブログ
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■ちょっとだけ落ち着いたので書きます。


■去る10月26日早朝、病気療養中だった、
フィギュア作家の寒河江弘さんがご逝去されました。
享年52歳。
29日午後には、お身体も次の場所へと旅立たれました。
 
■寒河江さんは、三枝徹さんの元で学ばれ、原型師としてデビューされた後、
当時は大阪に存在した造形工房、ヘビーゲイジに在籍、
その後は映画の美術スタッフとして活躍されつつも、
フィギュア原型師として多くの企画に携わられた方でした。
こと著名人の似顔フィギュアに関しては、その第一人者として、
幾度もテレビ出演もされましたので、フィギュアに知識の無い方でも、
作品やご本人をご覧になった事があるのでは無いかと思います。
近年は大阪芸術大学短期大学部、大阪芸術大学の兼担教授としても、
数多くの生徒を育ててこられました。
 
■僕が寒河江さんとお会いしたのは、1992年の事、
身を寄せたヘビーゲイジでのことでした。
寒河江さん24歳、浅井18歳。
仕事のデビューはほぼ同じ時期でしたが、
この年代での年齢差6つは大きく、お兄さんというよりは、おっさん、
大人と子供の様相でした。
工房内では話が合い、寒河江さんの関わっておられた、
自主映画の上映会などにも顔を寄せさせてもらうようになったのですが、
2年後、工房が形を変えた流れで、寒河江さんは映画の世界へ。
僕はしばらく一人で大阪に。
それでも、度々連絡は取り合っていて、
寒河江さんが連載コラムで書かれた言葉を借りれば、
その後も「素晴らしきかな腐れ縁」が続いてゆくこととなります。



■2006年には、二人でイベント「ワンフェス☆ニジュウ」を開催しました。
これはワンダーフェスティバルの公式20周年記念イベント
「ワンフェス20」が中止となった事に憤った二人が、
本来のワンフェス20が予定されていた開催日に合わせて、
勢いでロフトプラスワンを抑えた事から始まったイベントでした。
それまで人前で喋った事も無かったのが、
いきなりの6時間+2時間となる8時間開催。
何人ものゲスト様や、たくさんのお客様に囲まれ、
元々は嫌がらせみたいなイベントだったのに、
海洋堂の宮脇センムにはビデオ出演までしていただいて、
忘れられない日となりました。

※この際のガイドブック表紙を描いてくださったのは、
当時のWF公式イラストレーターだった藤田幸久さんと、
故水玉螢之丞ねえさん。
また、figmaはこのイベントを遠因として誕生、
寒河江さんにも、リアルフィギュア系figmaの原型にはご尽力頂いています。

2011年暮れには、今は無きWFカフェにて、スズメの学校開催。
諸事情にて2回目からは僕の単独開催になりましたが、
元々は寒河江さんとの二人イベントでした。
ワンフェス☆サンジュウの話も出たんですが、これは実現ならず。

2016年より、月一回ではあるものの、僕が大阪芸大の講師に入った事から、
寒河江さんの旗振りで始まった「新世代造形大賞」にも
関わらせていただくようになりました。

しかし、その新世代造形大賞、第四回目。
先々週10月19日に行われた審査発表の夜に、
感想や来年の展望をやりとりしたのが、
寒河江さんとの最後のご連絡になりました。


■寒河江さんは常々、
フィギュアそのものの地位向上や認知を広めてゆくこと、
また造形を志す若い世代に対して出来る事を考えられている人でした。
交わした会話も、大部分はそういった内容ばかりでしたが、
原動力は堅苦しい理念だけではなく、
そうなったらおもろいやん
その方が楽しいやん
それもアホみたいでええやん。
というような意識も傍らに置いていて、
フィギュアの事を真剣かつ、楽しんでいる人だったと思います。

寒河江さんの映画でのご関係は詳しく存じません。
映画の世界に深い愛着と敬意を持っておられた方だったので、
浅井などよりも余程仲良く、信頼されていた方が、
沢山居られるであろう事と思います。
それでも僕にとっては、十代から四十代も半ばを過ぎた今の歳まで、
切れ目なく自分を知ってくれている、数少ない人でした。
同期の同業者、という括りならば、唯一と言ってもいいです。
言い合いも仲違いも散々やりましたが、
肩肘張らずに過ごす事が出来る、大事な相手だったんです。


■思い出しながら、確認しつつ書いてたら、記録の要約みたいになってもうた。
とりとめもありません。
もうちょっと感動的な文章でも書いたったら良かったんですけど、
思い出に足を取られてばっかりで、うまいこといきませんでした。

寒河江さんが残されたものがいくつもあります。
作品は勿論、繋げられた御縁、育てられた生徒や、
立ち上げられた新世代造形大賞もあります。
それはこれからも、きっとあちこちに花を咲かすと思います。
忘れんとって頂けると嬉しいです。






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