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■随分と時間が経ってしまいましたが、
先月20日、秋葉原のWFカフェが閉店致しました。
ラストの19、20日は、浅井も壇上に上がらせてもらい、
最後を共に過ごさせて頂きました。
テーマカフェというのは、そもそもが期間限定的な場であり、
永続的に続くようなスタイルのものではありません。
比較的成功事例として語られがちだったリナカフェにしても、
リナックスカフェという側面は早々に無く、
多目的スペース兼カフェ、というスタイルで生き残っていたように思えますし、
そのリナカフェも既にありません。
自分が宮脇専務から聴いたワンフェスカフェの未来像は、
埋もれている様々な物語を掘り起こし、
コンテンツとして提供できる場、というイメージでした。
カフェというのは、その場を整える為の体裁であって、
別に飲食店である拘りは無かったのでは無いかと感じています。
実際、模型・造形に纏わる業界には、中々表に出る機会は無くとも、
興味深い物語や歴史は少なからずあり、
語り部でもある宮脇専務がそういった言葉を紡ぐ場を設けようというのは、
充分に理解も同意も出来る話ではありました。
また、そのパッケージを若島店長に任せたのも、悪くない人選だったと思います。
最終日の壇上では、反省会というテーマでユーザーを招いている以上、
目に付く問題点に触れないわけにはいきませんし、色々言わせてはもらいましたが
若島さんはパッケージに落としこむアイデアには長けた人です。
彼が個人活動として行なっている「模型塾」のような場が、
あれほど長く続いているのは他に例が無く、
それは彼の、適切に落とし所を見出すセンスによる要素が大きいものと考えます。
その若島さんをして、無理を推して進めている感は、昨年の時点でもありました。
最終日に挙げたように、「ここをこうすれば」というアイデアは、
恐らくそこかしこに指摘する事は出来たでしょう。
しかしその改善も難しい程に、ワンフェスカフェの運営は厳しく、
そして若島さんが見積もれる人であったが故に、
破綻しないスタイルを見積もって何とか回していたのが、
後半のワンフェスカフェだったのでは無いかと、
そんな気がしてなりません。
ワンフェスカフェは、飲食店経営としては失敗しました。
少なからぬ苦労と不幸を背負い込んだ人々も居るはずです。
美談にすべきことだとは思いません。
客として見れば不満が残ります。
しかし閉店後、どうするればあの場が続いたのか、
自分たちの場所であり続けられたのか、
そんな事をユーザーか語りあったという点だけに限っても、
専務の思い描いた場の可能性は、確認できたような気がします。
それは、いずれ次に繋げられる縁だと期待して。
宮脇専務、若島店長、そして中々表に出ることはありませんでしたが、
ちきぃ太さんをはじめとしたスタッフの皆さんに、
個人的な感謝を。
ありがとうございました。
■最後に追い込みで行った、スズメの学校三時限目で頂いたQ&Aを、
遅ればせながら解答させていただきました。
もう締切でグッズグズで、こんなにも時間がかかってしまった事をお詫びします。
※●が質問、◯が浅井からの回答です。
●真空脱泡機を自作する場合の注意点と想定される危険性について。
●真空脱泡機を購入する場合の真空槽の注意点
●リクエスト:オススメの真空脱泡機、もしくは自作の仕方。
●大掛かりな道具(真空脱泡機等など)をあえて自分で自作される方もいますが、既製品を購入するよりもメリットはありそうでしょうか。
●(真空の)価格とオススメ機種と一戸建てに置けるかも教えて下さい。
◯真空脱泡機の要点は3つだと思います。
・1 ポンプの排気能力
・2 配管の短さ、太さ
・3 真空槽の強度。
この3点が充分であれば、大きな問題が起きることは無いかと。
ポンプによるの排気能力の差は、1気圧が引けるパワーと、そこに達するまでの速度の違いになります。これを佐藤真空のポンプUSTシリーズで説明すると、一番小さなUST-20では一分間に20リットルの空気を引くことが可能、という事になります。真空槽が大きいほど、空気を引くのに時間がかかりますし、硬化時間の早いレジンでは真空になる前に硬化が始まってしまう事になりますので、この速度は、大雑把ですが速い方が安心できます。これはあくまでも浅井の経験上の話になりますが、直径20cm、高さ20cmの円筒形で小さめな真空槽に接続する場合、分50リットルのものでは不安を感じ、その大きさの真空槽には分150リットルのポンプを接続しています。このポンプで1気圧分に達するまで20秒ほどになります。ポンプの速度不足は他の要素でカバーするにも限界がありますので、速いに越した事は無い、というのが自分の考えです。ただポンプはかなり重く、150リットルのタイプで30キロ弱(オイル含む)、500リットルのものになると50キロ近い重さになります。実用最小クラスの50リットルタイプでも20キロは超えますので、設置には注意が必要です。
次に配管ですが、これは短ければ短い程、太ければ太い程理想的です。(とはいえ、ポンプからの吸気管より太くても意味はありませんが)この配管を細いゴムホースなどで用いると、ポンプにパワーがあっても配管がボトルネックとなり、真空槽に求める効果を殆ど発揮できません。浅井もこれで泣いた時期がありました。配管はDIYショップなどで買える塩ビ管を組み合わせて作ると良いかと思います。
最後に真空槽の強度。これまでの2点は実用性能の為の注意点でしたが、真空槽の強度はそれに加えて安全性にも影響してきます。上記の20cmサイズの真空槽の場合は、塩ビの水道管を塩ビ溶接して作ったものですが、こちらで厚みは6mmほど、フタ替わりのアクリル板は1センチの厚みのものを使っています。より大きな、ポンプ500リットル、真空槽直径40cmのサイズになると、槽の厚み1センチ、アクリル板の厚み2センチを使用していますが、この厚みでも、うっすら中央が凹んでいる状態が確認できますので、かなりの圧力がかかっている事が分かります。これらは圧力から算出して作ったものでは無く、既成品を流用した為に決まってしまった厚みなのですが、10年程使って破損した事はありませんので、少なくとも強度不足という事は無いようです。
市販されている真空脱泡機はかなり高価ですが、ポンプを単体で購入し、真空槽も業者向けの金物屋さん等に相談して作ってもらえば、市販品の半値以下で倍以上の排気速度の物を作成する事が可能です。後必要なものは、パッキン、バルブと、真空計くらいですが、市販品も構成は殆ど同じですので、コスト面だけ考えても自作のメリットは大きいかと思います。ポンプは上記のUST150で13万円ほど、UST500で25万円ほどで購入できますし(少し古めのデータです)、真空槽も、3~5万も出せば作って貰えるのでは無いでしょうか。
ただし、真空注型機になると話は別です。これは自作するにはちょっと難しいですし、そもそも広告に乗るような形で市販されてはいないかと思います。
●真空脱泡機でシリコン型作る際の注型って、レジンが上から入る用に作るのが一般的だと思ってたんですが、componさんは真空注型用の型みたいなの作ってたんですよ。なので浅井さんはどんな型作ってるのかが知りたいです
●真空成形の型の作り方のポイント
◯現在、自分は量産は行なっておらず、試作分だけの型しか作りませんので、型はごく単純なトップゲートの切り型が殆ど全てです。クランピングの手間を省く為、紙コップの枠を使う方式ですね。真空脱泡は空気を無理やり抜いているわけですから、当然アンダーゲートでも問題無く抜けると思いますが、あえてアンダーゲートを選ぶメリットは自分は思いつきません。
●真空脱泡機による透明シリコンでの型作り方法を知りたいです
一度、知人の環境で作ったことがあるのですが、沸騰で3倍くらいになり慌てた経験はありますが、なにぶん経験値が低く他の注意点など思いつきません
◯透明シリコンは粘度が高く、真空圧をかけるとかなり膨らんでしまうと思います。特に細長い型の形状であれば、本来必要な型サイズの何倍もの高さになってしまいます。これを防ぐ為には、シリコンを混ぜた後、型に流す前の大きな容器に入ったままの状態で脱泡(予備脱泡)し、空気を充分に抜いた後、型に流して再度真空をかければ、細長い形状の型でも膨らみはわずかで済みます。予備脱泡の段階でも溢れてしまいそうな時は、バルブをちょっとづつ開放しながら、ゆっくりと泡が抜けるのを待つようにして下さい。
●おすすめな真空脱泡機、維持に掛かるコスト。
●維持費やメンテナンスにかかる手間について知りたいです。
◯おすすめ、というのは特に思い当たりません。導入できるならば大は小を兼ねる、という事くらいでしょうか。維持に必要なものはオイルコストです。定期的にオイルを交換せねば、ポンプの中で不純物や水分が溜まって固まってしまいます。オイルは一斗缶で買いますので、年間で数千円程度かと。
●Webで検索すると圧力鍋を使った自作の真空脱法機が出てくるがそういったものへの見解。
◯当該の真空脱泡機を見ておりませんので何とも言えませんが、機能として重要なのはポンプと配管ですから、真空槽は強度さえ満たしていれば何でも良いかと。圧力鍋ならば必要十分な強度かと思われます。
●真空・加圧・遠心成型それぞれのメリット・デメリットを、教えていただけるとありがたいです。
◯真空は型の条件が比較的少なく、回転速度も速めなので複製の手間も楽です(それでも真空なりの条件はありますが)。加圧は量産には向きませんが、機材が安くコストもコンパクトにまとまります。思いついた方のアイデアは素晴らしいなと思います。遠心は細かな部品を大量に複製するのには向いていますが、大きめの部品は歪みますし型製作も注型もノウハウが必要ですから、あまり気楽だとは思いません。
●真空脱泡機はどの程度複製作成に有効ですか?結構気泡が入ってしまうことが多くてWFのサンプル提出の時に時間もなくて大変だったりするので…
◯有効、というのが何に対してかかっているのか分かりませんので具体例が出せませんが、気泡に関しては常圧注型よりは圧倒的に少なくなります。型配置を失敗して、常に同じ場所に気泡が出来てしまう事はあっても、そこかしこに気泡が散る事はありません。また切り型であれば、何十個もの量産には不向きですが、原型完成から早くて6時間後には複製品が出来上がっている、という強みがあります。自分は手放せません。
●市販の超音波カッターだと普通のデザインナイフに比べて、刃が小さいと思うのですがそういったことは問題にならないでしょうか? あと、刃がどれくらい持つのか、無理やり純正以外の刃をつけても平気なのかなど教えてもらえるとうれしいです。
◯刃の大きさは慣れてしまいました。これは浅井が、道具に自分を合わせるタイプだからかもしれません。刃は、現行の334以降はD400の刃が使える事が前提になっているようですから、純正に拘る必要は無いと思います。もっとも、浅井の場合は元々本体に付属していた刃をほとんど交換せずに使えていますので、他の刃を付けなければならない環境に陥った事が無いのです。
●3万円くらいの超音波カッターを買ったんですけど、30万円くらいするのとは何が違うんでしょう?威力とか?
◯高いものの方が振動が強いようですが、切味となると大差ありません。
超音波カッターは刃先がデザインナイフですから、デザインナイフで切れるものはより簡単に切れますが、デザインナイフで切れないものは振動を強くしても切れません。むしろ強すぎる振動は素材が崩れてしまいますので、模型用途でしたら3万円クラスのものがベターかと思います。
●性能差によってピンきりかと思いますが、超音波カッターはどのくらいの厚みまで切れるのでしょうか?あとその切れる厚みによって購入の選定材料にするものでしょうか?
◯カッターの性能に関わらず、超音波カッターで切れる厚みは、刃が材料に挟まれて抵抗が増し、動かなくなるまでです。つまり普通のデザインナイフと大差はありません。普通の木材やパテを相手にした場合は、刃物が埋まったあたりで動かなくなります。よりパワーの強い超音波カッターを使った場合は、刃の側面と接触する材料が摩擦熱で焼けるか、振動で崩れるかくらいで、あまり良い結果にはなりません。
●超音波カッターじゃなくて超音波彫刻刀を使った時の感想
◯自分も、スズメの学校3時限目の会場で、ボンクラーズ総長さんにお借りして初めて使いました。独特の「トットット……」という打突感があり、超音波カッターよりも電動工具としての印象が強かったです。
●友人から譲ってもらった超音波カッターの使用時間が短いのですが、これは寿命ですか?
◯使用時間が短い、というのは、あまり切れない、という事でしょうか?
でしたら、おそらくですが、刃を挟むユニットの溝が汚れているのでは無いかと思います。刃はピッタリとホールドされていないと、振動を伝えてくれません。一度刃を外して、粉、埃や、金属が摩擦して発生するカーボンを取り除いた上、しっかりと刃を締め込んで使用すれば、きちんと振動は伝えてくれると思います。
●期待して買ったはいいけどさっぱり使えなかった目新しげなツールはありましたか?
●実際に使えた、イマイチだった問わず思い出の道具って何かありますか?
◯会場でも少し触れましたが、ヤスリが上下に動く電動工具はさっぱりでした。スピンヤスリは複数種を使っていますので、動作方向がちょっと変わるだけでえらい違いです。
●これを導入して仕事の効率あがったとういう道具があれば教えてください
◯これも会場でご紹介しましたが、ベルトサンダー。マックスファクトリーの工房で見かけた時は「こんな大味なもん使わねえだろwww」くらいに思っていたのですが、扱いに慣れると大変能率的な工具でした。あと、スジボリ堂さんの光硬化パテは本当に作業スピードが上がりました。作業の流れを止める事なく穴が埋められるのは大きなメリットです。
●浅井さんの工房の様子が見てみたいです
◯写せる範囲だけですが、机の回りはこんなです。
●評判の道具や材料を買っても、上手くいかなかったり、効果的な使い方がわからなかったりで結局放置という事が多いのですが、そういう場合浅井さんならどういう風にしますか?例えば…
1. 使いこなせるまでいじり倒す。
2. そもそも相性が悪いと考え、諦める。
3. 使いこなしてる人を探して使い方を聞いてみる。
4. 機が熟すまで待つ。
5. その他
●使ってみて「期待ハズレだった」道具はどうしてますか?刻が来るまで保管?潔く廃棄?(使いこなせない道具で机を占拠されてるのでw)
◯その道具を使って行わなければならない作業があるなら足掻きます。アナログの道具よりも、ソフトウェアなどの場合は足掻かざるを得ない事が多いです。
なんとなく便利そう、くらいの軽い感じで買った道具なら、諦めてそっとしまいます。時間が過ぎて「あれ?この局面なら使えるのでは?」と思い出して復活するものもありますが、大部分は見なかった事にしようゾーンに溜まっております。
●日常にある道具で「ちょっと裏技的な」使い方あればお教え下さい。
◯裏ワザというのは思いつかなかったのですが、100円ショップで買える引き出しとタッパーは多量に使っています。これが無ければ自分の部屋はどうなっていたんだろう……と思うくらい、作業場の整理に役だっています。
●外出先に道具を持ち出す(持ち運ぶ)際の手法で、自慢できるネタはありますか。
◯道具の持ち運びとはちょっと違うかも知れませんが、タッパのフタの裏に金属板を貼り付けて、造形途中のスカルピーを持ち運ぶ事はよくやっていました。
●いろいろと騒音が出る道具も使われてると思いますが防音はどうしてますか?
◯駅から遠くてもボロくても、物件は一戸建てを選ぶ、という根本的な解決策を常に選ぶようにしています。それでも換気以外の窓は常に雨戸閉めっぱなしです。
●浅井さんが使ってみた道具の中で、期待してなかったがとても便利だったものと、高価な道具であるがイマイチ持て余している道具がありましたら教えて欲しいです。
●これは予想外に良かったという道具はありますか
◯使えなかったわけでは無いのですが、自分には使い所が無かった、という意味では旋盤とフライス盤です。小さなものばかり作っているのと、既にNC機(モデラ)を使っている前提ではあまり活躍の場がありませんでした。
予想外に良かったものとしては、スジボリ堂さんの「絶妙ロール」という、ペーパーを筒にしたリュータービットがありまして、これが一見した印象では実に使えなさそうなビットなのですが、シャレで買ってみたら意外な程便利で驚きました。
スジボリ堂さんの工具の話、多いですね。念のため、個人的ご縁もステマもありません。金ヤスリの「鬼切」は自分の作業環境には合いませんでした。
●立体出力品の素材が後加工しにくくて泣きそうです。(レーザー焼結のナイロン素材とか、HD3000の光硬化樹脂とか)立体出力品の後加工やサンディングに向いた工具はあるのでしょうか?
◯いや、あれはもう泣くしか無いでしょう(笑)EDEN系の繊維質な素材やHD3000の硬い素材は、中々に泣けるものがあります。比較的に広い面でしたら、前述の「絶妙ロール」が役に立つかもしれません。自分もつい先日、機械の不調で積層線が出まくった出力品の荒磨きに使いました。
●こだわりの道具があれば教えて下さい。
◯真鍮線を研いで作った細いヘラでしょうか。紙ヤスリでも研げますので、必要な時に応じて必要なサイズのものを作ります。無くしても困らない、というのが大きいです。
●ずーっと使い続けている愛用の道具がありましたら是非見せて頂けないでしょうか。
●ずっとエポパテ、ポリパテをメインで作業をしていたので、まだスカルピーの使い方をよく分かっていないのですが浅井さんが最近メインでお使いの工具類のメーカーや種類等を教えていただけますでしょうか。
◯オルファのナイフと、パジコのスパチュラ、革製品を鞣すヘラ(これもモデラと言います)この3本は20年以上使ってます。スパチュラは作業に合わせて先を研いでます。
●リューターのうまい使い方(削りすぎが怖くて使えない)
◯リューターで失敗するのは、回転切削の速度をコントロールしきれていないからです。リューターの回転速度を落として見てください。指で触ってブレーキがかけれるくらい、何の怖さも感じないスピードに。その上で、先端ビットの形に削れる刃物なんだ、という気持で押しこんでいけば、回転に振り回されずに扱えると思います。尚、先端ビットはダイヤモンドのチップが付いたものより、刃物型になっているものの方がコントロールしやすいですし、余計なキズを付けません。
●いままで購入した道具の中で、一番コストパフォーマンスが良いと感じた道具を教えてください。(使いこなす難易度も教えていただけるとうれしいです。)
◯長くこの仕事を続けてしまっているので、古くから使っているものほどコスト償却は出来てしまっていますし、一概にコストパフォーマンスを語るのも難しいのですが、導入する事で大幅に作業時間が圧縮できた、という意味では真空脱泡機。これは真空が大体どういう挙動をするものかさえ知っていれば、扱い自体は難しくありません(複製自体の奥は深いです)。導入する事で作業に対するスタンスそのものが変わった、という意味ではモデラを始めとした3Dデータの具現機器でしょうか。こちらはまだまだ自分も扱えていませんし、底が見えませんので新人に戻ったくらいの感覚で勉強してます。
●手作業、modela、レーザーカッターなど複数の手段で製作した場合の、細かい部分のすりあわせ(サイズ調整など)のノウハウ
◯現状では、どの工程を経た部品も、擦り合わせは手で行なっています。デジタルデータだけを合わせるならデジタルで終わらせた方が良いでしょうが、複数の要素が絡んだものをまとめるには、アナログが一番簡単です。
●初心者がこれだけは持っていたほうがいいという道具はありますか?
◯エアブラシ。美少女フィギュアや、比較的綺麗に仕上げられたロボットの場合ですが、筆塗りよりも缶スプレーよりも、遥かに技術的なハードルは低いです。中級者になるまで待ってもさしてメリットはありませんから、早いうちに買ってしまった方が恩恵を受けられると思います
●スジボリに関しまして、硬化したエポパテ表面のような、やや硬めの面にスジボリする場合になにかオススメの道具ないし方法などありましたら、お願いいたします。
◯自分の場合は、デザインナイフでアタリを引いて、目立てヤスリを使う事が多いです。ただこれはPVC製品になる前提で、少し太めに消えにくいラインを入れる事に慣れてしまっているためです。細いラインを引くのであれば、エッチング製のライナーを使用した方が良いのではと思います。
●カッターの刃を変えようと思う「切れにくくなったなと思う瞬間」はどんな時ですか
◯あまり切味に拘りませんので、欠けたり刃こぼれした時や、細くて折れそうな部品を削る時に交換するようにしています。
●作業しながら何を考えてらっしゃるか、という事です。勿論人形の事は考えられていると存じますが、ただヤスリをかける等、自動で出来る作業の時間は何を考えてらっしゃるか気になります。
◯あまり思考を使わずに出来る作業の時、という事で良いでしょうか?
でしたら「早く終わんねえかなー」と思っていると思います。
あと「モテたいなー、モテねえなー」とは常に思ってます。
●作業時の指への負担を軽減する為に何か工夫されている事はありますでしょうか?
◯腱鞘炎や筋肉痛など、関節への負担はマッサージや鍼でフォローしています。
●アナログで三次元反転して左右対称の作れるテクニック
◯インクジェット印刷が出来るOHPシート(透明フィルム)にマス目をプリントして、部品の上に重ねて狂いを見る、という手法をよく使っていました。あと、昔ながらの型取りゲージ(固定されていない針金が並んでいて対象物に当てるとその形に凹むゲージ)も案外馬鹿にできません。
●例えばねんど状のポリパテとか 焼くとポリパテになるスカルピーとか そういうかんじの あれとあれのいいとこ取り的な素材願望を聞きたいです
◯Aのスプレーをかければポリパテになり、Bのスプレーをかければ焼いていないスカルピーに戻る、という素材があれば良いのにとは10年以上夢想してます。
あと、原型に手を触れずに、ベストな位置で固定してくれる透明の手が欲しいと思っていました。こちらはデジタルで造形する感覚が理想に近かったです。
●原型製作期間の最短/最長記録
◯最長は途中休止をはさんでしまうので解らないのですが、最短はアクセサリー用の原型で、1日で3個とかだったと思います。アクセサリー業界でバイト的に下請け仕事を貰っていた時は、明日までに、とかそういった発注が多かったもので。
●撮影機材などのお話もあるとのことなので楽しみです。
◯すみません、撮影機材の話、出来ませんでした。
自分は仕事で撮影するため、デジタル一眼レフカメラを使っていますが、カメラよりもライティングをしっかりした方がよほど綺麗に撮影が出来ます。スタジオライトは値段も高く、セッテイングも扱いづらいものでしたが、先年発売された大里化工さんのフォトラは、模型撮影用には実に良く出来たライトで、自分も愛用するようになりました。1/6以上の大型フィギュアを撮影するのでなければ本当にお薦めです。カメラを買い換えるより余程良い結果を生むと思いますよ。
●30分ぐらいフィギュアヘッド製作実演お願いしたいですな~
◯いずれまた、UST配信なりで出来ればと思います。
●アウタスキンをどうやって作っていらっしゃるのか?
◯アウタスキンはソフビですので、生産はソフビ工場です。
原型としては、素体をレジンで複製し、その上にスカルピーを盛る形でクリアランスを出すようにしています。
●Sculptrisで直線がうまく出せないのですが、そんなものなのでしょうか?
◯そんなものです。スカルプト系のソフトは真っ直ぐな線や、メカのようなハードサーフェスは苦手です。機械的な直線は、スカルプトリスで作ったデータを下地にリトポ作業で作った方が良いと思います。
●2時限目の流れの質問として、デジタル原型師の需要はどの程度ありますか?
(漠然とした質問で申し訳ないのですが、業界にどのような人材が何人必要とされているのかといった関心からです。)
◯市場に届く魅力的な造形が出来るデジタル原型師でしたら、どこででも需要はあるでしょう。逆に、ソフトは扱えるが造形は今ひとつ、という事ならさして需要はありません。このあたりはアナログもデジタルも同じです。
ただ、今現在に限ってですが、ソフトを熟知しているのであれば、トレーナーとして、または面倒な作業専門としては求められるかもしれません。
業界にまだデジタルが浸透しきっていないが故に空いている席、というのはあると思いますが、求められるのはアナログでもデジタルでも造形能力です。
●光出力機のお話を伺ってみたいです。
◯光造形出力機も、機種が違えば構造も何もかも違うケースが多く、未だ一本化されていませんので、その話を聞いて笑えるのは日本で十何人とかそんな話になってしまうのです。もう少し「これ」というメインストリームが固定してくれば話しやすいのですが。
●講座のDVD販売をする予定はありますか?
◯ありません(笑) 入場料取るのも躊躇してるのに、DVD売るとか心臓が耐えられません。
●部屋が道具で埋まるんですが、老後が不安です。クリエイター専用の老人ホームとか必要じゃないでしょうか?
◯あああ、本当にそれ欲しいです。誰か作って(;´Д`)
せめて、孤独死した後の、工具と玩具形見分け片付け専門業者だけでも。
●浅井さん個人に向けての質問じゃないかも知れませんが…
これからフィギュア原型を始めたい人に向けてのアドバイス
(3D造形&ねんど造形のメリット・デメリットや、健康管理的な日々留意するべき点など)
今すでにフィギュア原型をしていてイベントにも参加しているディーラーのこれから…
(やはりキャラクターグッズとしてのフィギュアしか残ることができ>ないのか)
◯これは浅井から具体的な話は何とも言えません。
形而上的な表現になってしまいますが……。
期待や希望と関係なく、新しい現実はやってきます。
新しい現実が過去を押し流すのに、自分が思う良し悪しは関係ありません。
自分の芯は大事だと思います。
ただ、芯は本当に中心の一本だけです。
あれも捨てられないこれも諦められないと欲張ると、
自分の思想を美化して一歩も動けない状態に陥ってしまいます。
持っていけるものはほんの一握りしか無いんです。
それでも、目の前にやってきた出来事に対処し続けていれば、
いずれその一握りが生きてきます。
●ワンフェスカフェ閉店にあたって今後スズメの学校のような話を聞ける機会はありますか?
◯いずれ、何かの形で繋げたいと思います。
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