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画面上ではソールドアウト表示になっておりますが、
実際には、在庫はホールドした状態になっております。
カート上でお買い求め頂ける製品は、ブルーライン、及びアウタスキン等の再販製品のみになっております。
ご注意下さい。
シリーズ5種ですが、本日再生産された商品が到着致しました。
また、長らく在庫切れとなっておりました、ブルーライン、アウタスキン各種も再生産致しました。
これから検品と箱詰めを行い、そちらが終了次第、再販を行います。
ただ、今回は検品と箱詰めを行わねばならない量が非常に多い為、
その準備に1週間~10日程かかると思われます。
販売準備が完了し、発売日が決定次第、告知いたしますので、
あとしばらくお待ち頂ければ幸いです。
おまたせしておりますが、宜しくお願い申し上げます。
※通販は今回のみでは無く、今回分の在庫が終了次第、また再販準備に入ります。
■さて「スズメの学校2時限目」の本筋は「原型の為のデジタル活用」でしたが、
終盤のフリートーク的な部分で、ふと自分が発言した、
「テレビを付けて、見かけた顔を10分で作る」
「それを毎日10個作る」
「10日に1日は30分かけて作る」
という造形法について、多数お問い合わせを頂きました。
全くの初心者の方から、プロの原型師さんからもメールを頂きました。
正直、本編よりもこっちの発言の方が影響大きかったんじゃないかとすら思います。
ただ、これは自分が実践した方法ではありますが、
言葉の通りに延々と続けていても、効果は限定的です。
この方法には一定の効果がありますが、
段階を経て、意識を変えてゆく必要があります。
これは文章では説明がしづらく、
時間をかけてゆっくり説明したい所ではあるのですが、
このまま言葉だけが独り歩きしてしまって、
実践して下さった方の時間を浪費させてしまっても困りますので、
ここで考え方を補足させて下さい。
■まず最初に、この方法の意味を説明致します。
1)「テレビを付けて、見かけた顔を10分で作る」
これは粘土を触る事、造形する事を当たり前の日常とする為です。
テレビから対象を選ぶのは、作りたいものを選ばず、
得手不得手に関係なく造形するため、
10分で作るのは、長時間触る事で、作ったものに固執してしまうのを避け、
作る、という行為への意識を、呼吸するように行うのを目的としています。
また、短時間で作業を行う事で、作ろうとしている形状を、
全体像からまとめ、細部で足踏みしない癖を付ける事も目的です。
最初は目を作るだけで終わった、というような事があるでしょうが、
細かい所よりもまずシルエットを作らなければ形にならないのだと、
ここで学ぶ事ができます。
枚数をこなすクロッキーと目的は同じで、
10分という数字そのものは重要ではありません。
3分でも良いし、30分でも良いのです。
2)「それを毎日10個作る」
これは(1)と理由が被りますが、固執せず、
作る事への無駄な緊張感を捨てる為に、何度も続ける必要があります。
また、数をこなす事で、何故出来ないか、どこで詰まるのか、
という気付きのタイミングを多く得られるようにするのも目的です。
(1)と同じく、10個という数字そのものは重要ではありません。
最適化を繰り返す訓練なのだ、と考えて頂ければ良いかと思います。
3)「10日に1日は30分かけて作る」
これは、繰り返しの中で気づいた苦手な部分や、
試してみたくなった要素を、じっくりと時間をかけ確認する時間です。
かといって、そこであまり時間をかけると、
「こうやるのが正しいのだ!」と、
自身の「気付き」に感動してしまう事があります。
方法を見つけた感動というのは中々厄介で、
その段階では素晴らしい発見に思えても、
間違いも少なからず含んでいます。
しかし「見つけた」という感動体験は、
それを信じるあまりに新しい知識や気付きを阻害してしまい、
その段階での正解を、その人の手癖にしてしまいがちです。
ですので、確認しつつ、でも手癖としない為に、
適度にゆっくりと作って確認を行うのが、この工程の大事な所です。
いつもよりも落ち着いて作るのが目的ですので、
30分と書いているのは(1)の3倍位の、と解釈して下さい。
タイミングも10日に1度で無くとも構いません。
■ここまで読まれて、気づかれた方も居るかと思いますが、
この方法は、作るという行為が身についていない方や、
数のこなし方がわからない、作っていても立ち止まってしまいがち、
という方の為のトレーニング法です。
有体に言えば、既に作れる人にとっては意味がありません。
作れる人にとって有益なのは「テレビで見かけた人を作る」
という箇所ぐらいだと思いますので、短時間で数をこなす必要はありません。
■では、経験そのものが少なく、数をこなしていない人は、この後どうなるのか。
このまま同じ方法を繰り返していても、ここからはあまり進歩がありません。
作る事の意識的な障害をとっぱらった後は、学びながら作る事が必要になります。
ここまで数をこなしてきて、何となく形を出せるようになったものの、
毎回クオリティを保てる、という人は、まだ少ないと思います。
(この場合のクオリティとは、細かなディティールの事ではなく、
そもそもの顔の形が毎回狂わずに出せるか否かの要素を指します)
ここで有益になるのが、昔ながらの美術書です。
原型師や絵描きの友人と話をしていると、時々、
「結局ルーミスとかハムに戻るな」という会話になる事があります。
ルーミスとは「やさしい人物画」等を記したアンドリュー・ルーミス氏、
ハムとは「人体のデッサン技法」等をジャック・ハム氏の事ですが、
会話の要点としては、上記2冊の美術書を指します。
これらの本は、絵や造形を学び始めた時、手に取る定番の書物です。
しかし買ったものの、今ひとつきちんと実践しないまま、
結局は独学で学んでしまいがちな経験をしている人が多いのですが、
描ける、作れるようになった後で、ふとこれらの本を開くと、
「ああ、このページはそういう事だったんだ!」と、
目からウロコが落ちるような事があります。
始めたばかりの頃は、上手くいかないイライラや、
一度に押し寄せた情報量で、本を理解する余裕も無かったのが、
内容が理解できるようになって、初めて「読める」ようになった、
という事なのでしょう。
浅井にも同様の経験があります。
これらの本には「こうすれば描けますよ」的な解りやすい解説が掲載されていて、
早く絵を描こう、造形をしよう、という意識でページを開くと、
どうしてもそのチュートリアル的なページを重視してしまうのですが、
ここで重視して頂きたいのは「面構成」と「バランス」を解説したページです。
人間の面構成やバランスには基本があります。
勿論人によって顔の形は違いますが、基本的にこうなっているのだ、
という前提を知ってから確認すると、
「この人は、頬のこの面が広いのだ」
「この人は、鼻の下がこのくらい長いのだ」という風に、
どの人も基本の顔からのバリエーションである事に気づけるようになると思います。
これは、若い原型師に教えた事のある経験談としてなのですが、
人間の顔を、構成から観察した経験のある人は、普通あまりいません。
その為、いきなり面構成を覚えよう、となっても、
人間の顔を面構成として捉え、覚える事は中々出来ないものです。
しかし、とにかく人間の顔(実在の)を作り続け、
そして上手くいかない、上手くいくにはどうすれば良いのか、
と悩んでいる人にとっては、単純化された顔の面構成を説明した図やアイテムは、
一気にモヤモヤを晴らしてくれる、わかりやすいテキストとなるのです。
つまり、先に説明した(1)~(3)は、この段階の為の貯金、
ダムに溜めた水のようなものと言っても良いでしょう。
この段階で「そうか、頬はこういう面になっているのか」というような事を意識して、
また作り始めると、造形内容は飛躍的に「出来た」ものになります。
※顔の面構成を単純化したサンプルの例(美術用品として販売されてます)
しかし気をつけて頂きたいのは(3)の説明でも触れましたが、
「これが正しい」という意識に陥る事です。
確かに人間の面構成やバランスには一定の法則がありますが、
人それぞれのバリエーションも豊かです。
これまで、テレビに映った様々な顔を作ってきた人であれば、
その基本が中々上手く当てはまらない事にも気づくでしょう。
それをどう当てはめるべきかを考えながら作るようになれば、
それは分析力や造形力を高めながら進む事が出来る、学びのサイクルになります。
■先に「これが正しい」という形を学び、それを意識しすぎて、
「アニメキャラの形なんか嘘だ」と言う答えに行ってしまい、
そういった造形が出来なくなってしまった人が、実は結構居ます。
造形を行う際には、何段階もの心の敷居がやってきます。
どうせ上手く形に出来ないというスタート段階の敷居。
始めてみたものの、迷い立ち止まってしまう敷居。
ある程度出来るようになっても、そこで解答を決めてしまう敷居。
そういった敷居を上手く越えながら、作り続ける方法、
それを2年続けられれば、誰でもそれなりに作れるようになる、
というのが、先日のイベントで触れた言葉の真意でした。
これは本来ならば、段階を経ながら説明するもので、
文章で並べても、あまり実感を得られるものでは無かったかも知れませんが、
あの言葉を元に造形を始められた方がおられたのであれば、
ご参考になれば幸いです。
■あと、スカルプトリスやZbrushを使ってみたけど、上手くいきません、という方。
もし、粘土なら出来るのにソフトなら上手くいかないというのであれば、
それはソフトの扱い方に拠る所も大きいと思いますが、
そもそも形にならない、というのであれば、
それは作りたい形が決められていないか、まだ根本的な造形力が足りてません。
そうであるなら、今から粘土を練ってみるのも良いものですよ。
デジタルは素材の一つでしかありませんから、
造形そのものを学ぶのであれば、ダイレクトに形を出せる素材が一番です。
去る3/24に、WFカフェにて「スズメの学校2時限目」を開催致しました。
今回のテーマは「原型の為のデジタル活用」と称し、
デジタルデータの運用について触れました。
会場では、前半は浅井によるこれまでのデジタル運用の記録と話させて頂き、
後半はデジタル原型師としてご活躍中の、折田航氏と、
グッドスマイルカンパニーでデジタルデータを原型化しておられる、
中村文年氏をゲストにお招きして色々お話を伺いました。
(当日の模様は、WFカフェのUSTにログが残っております)
会場では、浅井などよりもデジタルに詳しいであろう、
専門職の方々も多数ご来場頂き、冷や汗ものではあったのですが、
どうにかこうにか、2時間半、延長線を含め4時間のイベントを終える事が出来ました。
その際、寄せていただいたご質問につきまして、
今回も解答をまとめてみました。
当日お話した内容とも被りますが、ご参考になれば幸いです。
※重複したご質問はまとめてあります。
※●がご質問、◯が浅井からの回答です。
●パソコンはネットを見る程度のアナログ人間がデジタル造型を始めるにあたって必要なソフトやPCのスペック基準などはありますでしょうか。また「これだけはお金をかけても良い物を買ったほうが捗る!」等あれば教えていただきたいです。
●デジタル原型を制作するときにPCの最低性能はどの位必要ですか?
●デジタル作業されるさいのPCスペックを教えて欲しいです
◯現状で「このスペックならば安心」と言えるPCのスペック基準を挙げるのは正直難しいです。若干専門的な話になってしまいますが、3Dのソフトは、グラフィックボードのスペックに依存したものもあれば、CPUに依存したものもありますので、使うソフトによって、求められる要素が全く違います。グラフィックボードにしても、相性問題は常について回る問題で、一般論としてはDirectXよりもOpenGLに最適化されたQuadro系のボードが良いとされていますが、Quadro系のボードは割高で、問題が起きないのであればGeforce系列のボードの方が、安く高性能なものを選択できます。また、ウインドゥズXPが未だに現役で稼働している現在、多くのソフトが64bit環境に最適化されておらず、4ギガ以上のメモリを有効に使う事も出来ていないようですので、大量のメモリを積んだものの、あまり意味は無かったという事も起き得ます。3Dソフトの多くは体験版がダウンロードできますので、体験版をお手持ちのPCで動かしてみた上で、スペックアップを図るのが結局は近道では無いでしょうか。
もし3D用に新しくPCを組むとして、浅井個人的な考え方としては、CPUは最上位か、それより大きくは劣らないものを、メモリは積めるだけ、グラフィックボードは値段と使用するソフトのバランスが取れたものを選ぶのが、後悔しづらい選択肢では無いかと考えています。
浅井が現在、3D作業に用いているPCのスペックは、Win7-64bit/コアi7(970:3.2G)/メモリ24G/Quadro600、という構成ですが、このPCで作成したデータはWinXP-32bit/コアi7(920:2.6G)/メモリ3G/Geforce9600GT、構成のPCでも全く代わり無く動きました。アプリケーションが落ちる率は、むしろ前者のPCの方が多い印象すらありますので、ハイスペックであればいい、というものでも無いような気はします。
●ソフトの特性について(よくこのソフトはクレイ系だとかの)
◯イベントの前半でお話した事と被りますし、あくまで自分のざっくりとした認識ですが……ポリゴンモデラーは、3角面と4角面で構成された立体を作るソフトです。10年程前のゲームで見かけたような、角張った形(ローポリ)を作るソフトだと解釈して下さい。サブディビジョンはローポリを自動で細かく分割、補正してくれる機能で、ローポリと同じような作業で、比較的になめらかな曲面も作れます。この2つは現在多くのソフトで同時に扱う事が出来、アニメショーン用のモデルなどでも広く使用されています。
スカルプト系モデラーは、まるで粘土を扱うように加工できますが、これは目の細かいポリゴンソフトで、極端に拡大すれば角張っており、滑らかさを目指すほどデータが重くなります。ポリゴン=ドット絵、スカルプト=ビットマップ画像、と考えて頂くとわかりやすいかもしれません。
CADはサーフェスという面で立体を作図するソフトで、拡大しても角張りが無い為、精度が必要な機械設計等に用いられます。ただ複雑な曲面を直感的に作る事には向いておらず、CAD独特の修練が必要になります。
●3Dでフィギュアの原型を作るにはどのソフトを使えばいいんですか?
◯作りたいと思っておられるフィギュアの情報量と、貴方自身が持ち得る造形力に拠ります。アナログでも十分な造形力を持ち、作りたいフィギュアが情報量を多く含むものなら、Zbrushなどに代表されるスカルプト系ソフトが使いやすいでしょう。アナログで造形した経験が少なく、アニメキャラのような表面情報量の造形を目指すのであれば、サブディビジョンで造形されるのが向いているのでは無いかと思われます。スカルプト系ソフトは粘土的な造形が出来ますが、その特性は良くも悪くも粘土的で、慣れないうちは「綺麗に整える」事に苦労するでしょうし、サブディビジョンは細かな情報を直感的に加える事は不得手ですが「綺麗に面を整える」事はソフトが補正してくれます。
ただ、どの3Dのソフトも得手不得手があり、1本で全てをこなすのはかなり難しいですから、どのソフトをメインにするとしても、ローポリとサブディビジョンの両方を扱えるソフトは習得しておく事をお薦めします。
●デジタルで作る時、分割は作ってから考えますか?作りながら考えますか?
●パーツ分割はどのように行うのですか?全体が出来てから分割ですか?それとも最初からパーツ毎に組み合わせながら作るのですか?
◯分割を踏まえて作った方が良いかと思います。
現在の3Dソフトは原型の為に作られていません。よって「部品分割」という概念が必要になる場面はあまり無く、その為の便利な機能は実装されていません。ですから、分割しやすいようにデータを作っておいた方が、後々の苦労は少なくなると思われます。
●使用しているソフト、可動モノの可動軸の設定について話せる範囲のアイテムで
◯自分が現在使用しているソフトは、Rhino、Zbrush、3D-coat、六角大王Superといったあたりですが、可動軸の設定を行うのは主にRhinoになります。ただ、動かしてみなければわからない、という要素が多いため、実際にはアナログで確認し、加工している事が殆どです。その意味ではまだ「半デジタル」的な運用の仕方です。
●お仕事用にデジタルで原型を造り込む場合、締め切りから逆算するとどのくらいの時間で仕上げるものなのでしょうか?(もちろん個々に違うとは思いますが、大まかな目安として)
◯仕事内容のバラつきも、個人の造形技能の開きも大きすぎますので、大まかな目安ですらも提示できない、というのが正直な所です。アナログと比較すると、全体像の確認が行いやすい為、作業量の予測は立てやすいのですが、無限に修正を続ける事が可能な為、拘ればアナログよりも時間を食われてしまう罠もあります。
●ある程度いじれるまでの修得までのじかんなど
◯扱う人が元々備えていた技量と、ソフトによって千差万別です。元々の造形力があるのであれば、スカルプト系ソフトは慣れやすいでしょうし、そうでないなら、スカルプト系ソフトでは何もできない、という事に陥るかもしれません。ソフトの扱い方に関しては、人に教わると覚える時間はかなり短縮できます。金銭的に余裕があるならセミナーへ。または質問できる友人知人の使っているソフトを選んだ方が近道だと言えます。
●独学でマスター出来ない人へのアドバイス。
◯教則本では理解できない事でも、人の言葉ではわかりやすい、という経験を、自分は何度も感じてきました。ネット上の知人、友人でも構いませんので、質問を出来る相手と同じソフトを選ぶ、というのは有効な手段では無いかと思います。
●デジタル制作がどのくらいの規模とコストでペイできるものなのかはとても興味がありますので、出来る範囲で具体的にお聞きしたいです。
●具体的な費用(ソフト○万円+出力機○万円=トータル○○万円)なども。
●最低、○万円あればデジタル造形始められるよ!みたいな話も。
◯導入環境のイニシャルコストのみで考えるとして、高機能なCADソフトや、後加工をあまり必要としない出力機を前提とした費用ならば、現状では導入段階でも数百万円~1000万円以上が目安になってしまうでしょう。しかし手作業による後加工前提で、ある程度現実的な導入例であれば、フリーウェアかそれに近い低価格の3Dソフトと、再生可能なハードワックスを用いた切削機による、10万円(imodera使用の場合)~35万円(MDX-15使用の場合)あたりを目安とした環境でも、原型製作には十分効率的に運用できるかと思います。個人的には実際に長年の運用に耐えている、という点からMDX-15以上をお薦めしたいです。
●メカのようなカッチリした物と、生物的なやわい物でソフトや工法を変えたりしてますか?
●ZBrushは、リアル系の造型に向いていると聞いたことがあるのですが、二次元キャラクターやメカなど、造形物の特徴によって使用するソフトの使い分けなどされてらっしゃいますか?
◯変えています。柔らかいものはZbrush、硬いものはRhinoを使う事が多いです。ただ、硬いものでも、バランス取りの為のベースや、面を確定させるデザイン作業に近い段階では、Zbrushを使ってラフを作り、それを参考にしています。
●デジタル原型の立体出力結果がモデリング中のイメージとずれる事はありますか?また、その場合はどのように修正やすり合せを行っているのでしょうか
●モデルから出力する時の苦労、公差など
●データ上では、立体になった時のボリューム感のわかりにくさから望むとおりの出力結果にならないことがある。また、版権元の監修が立体物でないとダメだったりする。出力してからの修正は再度出力費用がかかる。制作面での工夫で、再出力=出力コストを押さえる方法はあるか?
●モニター上で見ているモノと出力したモノのサイズ感などのギャップを軽減するためのよい方法、アイデアがあったら教えていただきたいです。
●出力するまで形状が 良いのか悪いのか判断しにくいモヤモヤ感の解消方法ありますか?
◯画面の印象と、出力品の印象が違う事は多々あります。これはソフトに設定されたレンズの画角違いもありますし、レンダリングされたマテリアル、影の印象差や、見ている画面と出力品のサイズが違う事もあって、今後デジタルを使った原型製作ではひとつの壁になる問題だと思います。特に顔面は、イメージのズレが顕著です。
自分の場合は、少しづつ調整をかけた顔面を、溶かして再生可能なワックスで切削し、一番良いと感じた調整値のデータを出力に出す事で、経費を抑えるようにしています。始めた頃は、一つの顔を20以上のパターンで切削していましたが、その工程を繰り返すうち、修正回数は少しづつ減ってきましたので、これも作業経験で修正していけるのでは無いかと考えています。ただ、その修正値は人それぞれ違ってはきますので、共通言語にするのは難しいです。逆に言えば、その経験値を積む事が、CGモデラーではなく、デジタル原型師として特化したスキルになってゆくのでは無いでしょうか。
●オススメの製作ツール(環境)を上級、中級、入門編に分けて
◯初級、というわけでは無いのですが、メタセコイアや六角大王Sのような、ローポリとサブディビジョンが扱える安いソフトはお薦めです。これは作業が高度になっても扱う要素ですので、最初に覚えた方が良いかと思います。自分は使って居ないので解説できないのですが、フリーソフトのブレンダーもユーザーの多いソフトですね。
また、アナログでの造形力や、絵のデッサン力がある人にとっては、スカルプト系ソフトは入門しやすく、それが無い人にとっては最難関に近いソフトになってしまうでしょうから、評価が分かれる所です。CADはそれらよりも専門性が上がりますので、中級~上級に分類して良いと思います。3DSMAXやMAYAは、高価で世界的にメジャーなソフトですが、アニメーション用の統合ソフトとして高度なのであって、モデリングに限るのであれば、あえて導入に踏み切る必要は無いのではないかと思います。
●オススメの(又は愛用の)入力機器は?
◯普段使用しているものは、親指トラックボール、タブレットとしてintuos3、プレイステーションムーブのナビゲーションコントローラーを左手デバイスとして使用しています。タブレット等はお好みのものを使えば良いと思いますが、ナビゲーションコントローラーに限らず、ゲームパッド等にショートカットを割り振った左手デバイスは有効だと思います。
●出力前提でのモデリングで気を付けている事は?
◯ディティールの深さなどが、感覚的に掴みづらく、いざ出力してみると浅めに感じる事が多いため、意識的に深めになるようにしています。
●美少女フィギュアのガレージキットディーラーが、今デジタルを導入するとしたらどんなソフトや出力方法や利用方法が現実的だと思いますか?
◯これまでの解答と被りますが、メタセコイアや六角大王のような、安価でモデリングに特化したサブディビジョンモデラーに、外注で出力依頼を行なっての手仕上げ、もしくは切削機を導入してのワックス切削がガレージキット規模では適切かと思います。
●甲冑の板と板が重なっている部分や、メカの関節部分のすり合わせなどはどう作ってますか?ポリゴンの頂点を合わせるのは簡単ですが面を合わせるのは難しいと思います。関節などの可動部分はなおさらです。そもそもそういったところは手作業ですか?
◯関節であれば、CADで作ると思いますので、ポリゴンの面を合わせるという作業自体を考えないかと思います。甲冑の装甲板を分割して、尚且つピタッと合わせなければならないのであれば、ブーリアンしてしまうしか無いのではないかと。
●僕は3DCGが仕事や趣味なので、基本出力しない形態でデジタルオンリーのものづくりをしています。CGはマテリアルの制約が無い分、自在な制作が可能である反面、実体がありません。長いこと続けるうちに『やっぱり手にとってみたい』という欲求を感じる事もあり、あえて制約のある世界はいかなるものか?と思い、今回のイベントに参加してみようと思いました。造形家の方々は基本的に出力しない、マテリアル化しない事は考えられないとは思いますが、今後ツールでの造形アプローチが常態化した際に、『本物』がデジタル側にあると感じてしまう時は来ると思いますか?
◯これは浅井個人の考え方ですがアナログの「原型」も本物だと思っていませんので、原型の為のデジタルデータを本物だと認識する事も無いと思います。それが製品になる為の原型であれば、本物はユーザーさんの手に渡る「製品」ですし、映像の為のデータであれば、本物は「映像」にあると考えています。
ただ、これは仕事等、何かしら目的があって造形する場合の話です。造形する事そのものを楽しみたい、という事が目的であれば、それは粘土でもデジタルでも本物では無いでしょうか。
●漠然としていて申し訳ないですが、左右対称のものが簡単に作れるようになったこと
よって、いわゆる「味」のようなものが薄れるのではないかというようなことをどう思われますか。
◯左右対称が整う程度で薄れてしまうようなものは「味」だとは考えていません。
アナログでも、左右を整えるような技能の研鑽は行いますし、ソフト的な補正が勢いを殺すと考えるのであれば、左右対称の機能を切れば良いだけの話では無いかと。補正の有無で出来上がるものが全然違ってしまうのであれば、それは単にアウトプットの技能不足と捉えています。
●デジタル原形を始めるにあたって、必要となるアナログの知識(経験)ってどんなものがあるんでしょうか。アナログ造形の経験や、両氏のお仕事を見るかぎりでは絵心によるところも大きいように思えます。ここ数年でデジタル原型のための設備投資が、ぐっと現実味を帯びた値段になってきましたが、それでも自分には夢物語です; いつかは使ってみたいと考えていますし、そのために今から(お金のないうちからw)始められるデジタル原型製作の準備って何かないかなぁという思いからの質問です。
◯デジタルでもアナログでも、造形は造形です。デジタルによって、部分的に利便性は上がりますが、アナログで作れないものが、デジタルの補正で出来るようになる事はありません。手間の一部が効率化できるだけです。言い換えれば、造形そのものを学ぶ事に関してはデジタルは必要無く、アナログで覚えた造形力が、そのままデジタルでも活かせるはずです。一方で、ポリパテの磨き方とか、スカルピーの焼き加減とか、そういった工作知識は、デジタルで行う上では不要になります。
●デジタルと比較してアナログでないとできないと思える作業を教えていただけませんでしょうか。
◯造形そのものを学ぶ、という点においては、直感的なアナログで学んだ方が、余計な情報は排除出来るため、向いているのでは無いかと感じます。作業レベルではデジタルの方が効率性に優れていると思いますが、多くの3Dソフトは原型用に作られていない為、現状ではむしろ非効率な所もあります。
●原八さんは「デジタルは今はまだ待ち」だと3年くらい言っていますが、皆さんはどう思いますか?
◯まだ環境が整っているとは言い難く、その意味では待った方が良いという意見には一理あります。一方、この15年間部分的な利用であっても、明確にメリットは感じており、既に無いと困る段階になっているという実感もあります。
●お金持ちは有利だと思いますか?
◯ソフトウェアは勿論、出力機や切削機ですら、買ってすぐに役立つ夢の機械などでは無く、扱いにはそれなりの努力が必要ですので、買ったものの無駄にしたという会社や個人を、これまで何件も見ています。その意味では、お金がある人というよりも、必要とあればバイトしてでも導入し、自分のモノにしようという意思の強さがある人が有利だと思います
●3Dスキャナーは使いますか?
◯使いますが、たたき台としての使用が殆どです。
●盛り派と削り派、どちらがデジタルに向いてると思いますか?
◯盛り、削りにこだわらず、理想の形を出す事自体に集中できる人が向いているのでは無いでしょうか。
●現在はポリパテのみで造形していますが、今から新しい素材を訓練するくらいならいっそデジタルをという考え方をどう思いますか?
◯デジタルも素材の一つでしかありませんので、選択肢としては同列です。ご自分に合ったものを選べば良いのでは無いでしょうか。
●今後、3Dプリンタの価格が下がり、3Dプリンタを持つユーザーが増えた場合、モデルデータでの販売をする可能性はあると思いますか?
◯現在MMDのモデルデータを配布されている方の活動等には、その予兆を感じる事があります。ただ、ペーパークラフトのダウンロード販売などの市場や、改造前提に作られたフィギュア素体の市場を見る限り、ビジネスとして大きくなる事は無いような気がします。
●デジタル原型をやるにあたり、ペーパークラフトの型紙を作成する辺りから始めるのは有効だと思いますか?(単純に機材購入が難しいのでココから慣れるのもありかと思いまして・・・)
◯直線基調のメカ造形や、面構成を単純化して捉える為の練習にはなるかと思います。かつて海洋堂から発売された、アクションフィギュア:ウルフウッドの武器「パニッシャー」は、ペーパークラフトの方法論に近いやり方で原型を作っています。ただ、かなり限定的な手法ですので、有効なのはそのあたりまででは無いでしょうか。
●原型師を泣かせる業界の悪しき慣習についてぶちまけて欲しい
◯それぞれ個別に、不満に思うような経験はあるでしょうが、慣習と言えるような、業界全体に蔓延する問題は知りません。そういった噂話が好まれがちなのは、どの業界にも通ずる悪しき面だとは思いますが。
●Zブラシで綺麗な面を作るコツを見せて頂きたいです。
◯自分の場合は、スムーズブラシを使う前に、トリムダイナミックなどの平滑化のブラシで荒く凹凸を削ってしまってからスムーズをかけています。ナイフで粘土の表面を削るイメージでしょうか。
●仕事柄CADで色んな物を作ってる関係で気になるのですが、例えば「直径5ミリの円柱」とか「10センチ×20センチ×5センチ」みたいな寸法を盛り込んで造形したい場合、どの程度まで追えるものなのか知りたいです。
◯ポリゴンでは精度の出しようがありませんので、自分の場合は寸法が必要な部分のみ、CADを使用して合成しています。
●デジタル原型を取り入れることによる、生産者側のメリットデメリット、また消費者もメリットデメリットなど。
◯生産者側、消費者側とも、つきつめれば「開発が早くなる(可能性がある)」事がメリットの大部分だと思います。
●デジタル原型で作業していると体にかかる負担は?
◯人によると思いますが、自分の場合右手の親指付け根がコります。
●「デジタルツール」は有用な道具の一つという位置づけとは思いますが使い分けの実際、効果的な活用例などありますでしょうか
◯一例ですが、飛行機の中、道具を持ち出せない海外などでも作業が可能な事や「頭を一回り小さく」などの修正が土壇場でも可能というのは大きなメリットかと思います。一回り小さい、一回り大きい、などの修正は、アナログでは新造になり、対応に時間がかかりますので。(生産時に至ってから、部品の一部が縮小しやすい事が判明、というような事もあるのです)
●Zbrushで作られたメカ系の作品例を見ると、パーツはシャープなんだけど、どこかソフビのような素材で出来てるような印象があります。造型機で出力しても、その雰囲気は残るんでしょうか?
◯これは個人の印象の問題ですので……。ただ、画面上で見たデータよりも、出力した実物の方が小さい事が殆どですので、出力してみるとシャープに見える事も少なからずあります。
●フィギュアの場合のポージングをどのようにつけるか
◯Zbrushの場合は、トランスポーズ/トランスポーズマスターでポーズを付けて、付けた後、再度形状を整え直しています。割とガッツが居る作業だったりします。
●手作業とのミックス/境界部分について
◯切削でデータを出力する場合は材料の置き換えから手作業ですし、出力機を使用した場合も、多くの場合は表面を手で磨く必要があります。また、複雑な分割については、データの分割に特化したソフトが少ない事もあって、自分の場合は手に頼る事が多くなっています。
●デジタル原型を作る時に戸惑った部分はどこでしょうか?
◯ソフトウェアが原型用に開発されていない為、欲しい機能や、当然出来るだろうと思い込んでいた機能が割と無かった事に、勝手にガッカリしていました。
●3Dアプリケーションを、どんな風に選んだのかお聞かせください。
◯人柱気分で、片っ端から手を出した、という感じです(笑)
●ソフトを導入している前提で、デジタル原型師を目指すにあたってやっておくべき事や必要な事は何ですか?
◯ソフトは扱えるけれど、原型として出力した経験は無い、という前提でお話すると、部品の厚みやディティールの深さ、分割を意識して造形しておくと良いかと思います。出力も機械によって色々と制限がありますので、ここで分割、ここは厚みを足す、もう少しディティールを深く、というような、原型化の為の修正は少なからず必要になります。そういった事に素早く対応できるとデジタル原型師としての武器になるのでは無いでしょうか。ただし、根本的な造形力は既に備えている、という前提です。手で出来ないものがソフトなら出来る、というような事は殆どありません。
●参考になった参考書はありますか?
◯参考書よりも、ビデオチュートリアルをお薦めします。映像で見た方が、遥かにわかりやすいです。
●キャラクター以外でも何かスカルプトしていますか?
◯デザイン作業や、マスボリュームを確認したい形のものは、まずスカルプトしてみてから、CADやサブディビジョンで清書するような使い方をしています。
●スカルプトする際気を付けている事などはありますか?
◯ソフトを使っても、アナログの時と同じような手癖は出ます。手癖とは文字でかけば手の癖ですが、実際には認識の癖ですので、ソフトに慣れれば、やはり表に出てきてしまいがちです。そういった癖に気づいた際、できるだけそれを書き留め、次から意識できるようにしています。
●ZBrush以外にも'free form'や'Scalptris'などのスカルプトソフトがありますが、ZBrushを選んだ理由は何ですか?
◯機能的にスカルプトリスではモノ足りず、フリーフォームは高価だったからです。機能を限定すればスカルプトリスは大変優れたソフトですが、現在ではバージョンアップされる事も殆ど無く、自分の要求に比較的近かったのがZbrushだった、という所でしょうか。ただZbrushも、昨年R2へのアップデートで、ダイナメッシュが実装されるまでは、正直慣れる事が出来ず、スカルプトリスで初期形状を作り、3D-COATでリトポしてからZbrushに移していました。機能一つで、使い勝手は変わりますので、今後も使用ソフトを変更してしまう可能性は十分ありえます。
●今後のデジタル原型のあり方と言いますか、商業的でも、アマチュアディーラー的でも良いのでどうなっていくか、浅井さん、折田さんとしてはどうして行きたいか等ありましたらお聞きしたいです。
◯どうして行きたいかを簡単にまとめるのは難しいのですが、なぜデジタルという技法を紹介したのか、なぜ自らも使っているのか、という理由をお話します。(これは浅井個人の考え方です)
20数年、毎日のように粘土を触り、粘土を触る事の敷居を限りなく低く感じているであろうと思われる自分ですが、デジタルを触りはじめた時、粘土よりもさらに敷居が低いと感じた部分がありました。アナログの方がとっつきやすい部分があるように、デジタルの方がとっつきやすい部分もあったわけです。だとすると、アナログで立体造形が馴染めなかった人が、デジタルなら造形の世界を覗いてくれるきっかけになるかもしれない。これまで無かった入り口の形が提示できるのでは無いかと思ったんですね。この経験が、浅井が人にデジタルという方法論を紹介しようと思った動機でした。自分自身が使用するにあたっては、これは本当にツールのひとつという認識です。エアブラシやモーターツールを導入した時と、とりわけ大きな違いはありません。道具として、より便利なものになってくれれば良いと願っているだけです。
※ワンフェス会場に、ハイドファイアの不足部品を持込いたします。
前回お買い上げて頂きました方で、まだご連絡を頂いてない方は、
会場にてお渡しできますので、スタッフまでお声がけ下さい。
(状況把握の為、ご記名頂く事になります。ご了承下さい)
■残念な恒例になりつつある、ワンフェス当日に「ワンフェス出ます」告知です。
もうこんな生活から脱出したい。
今回の浅井んとこ(f-face/plastica)は、宅番号7-24-02になります。
販売するアイテムは、前回も販売しました
ハイドファイア、ハイドストーム、、ハイドアースの再販と
新しくハイドプール、ハイドブロッサムが追加になります。
ハイドプール。水です。手にしているのは錨。
ハイドブロッサム。花です。手にしているのはベタな刀。
マスクは爬虫類、蛇ですが、2つに割られていて顔が見えてます。
顔面もつなぎあわせた跡が。
瞳のシールは2種付属しています。
プールのマスクは魚類。
魚そのままにするとマヌケすぎたので、甲冑魚に。
並べると、ふたご姫というか、ハートキャッチというかな色合いになりました。
価格は全種共通で5800円になります(別途、MMS素体が必要です)
また、前回に続き、ハイドファイア用のアウタスキンを若干数持って参ります。
これは初回のアウタスキン無しをご購入頂いた方の為のものになりますので、
ご希望の方はスタッフまで一言お声がけ下さい。
こちらは800円になります。
また、47都道府犬ストラップの原型展示を行います。
小さなものですが、中々あやしい感じです。
今回のワンフェスでは、会場内イベントの出演は無いのですが、
例によって、深夜に放映される「朝まで生ワンホビ」には出演いたします。
秋葉原カルチャーゾーンのグッスマ鉄人カフェかたの中継となり、
同時刻、ワンフェスカフェでもイベントを行なっているそうですので、
双方に顔を出せればと思っております。
ご視聴、宜しくお願い申し上げます。
という感じで、駆け足ですが今回の概要になります。
もうグッデグデですが、残りわずかな命で走り抜ければと思います。
本日お会いできる皆様、宜しくお願い申し上げます。
浅井真紀
※追記
たった今、ハイドシリーズの説明書に不備を発見しました。
付属品に「紙ヤスリ」とありますが、これはブルーラインの説明書を転用した際のもので、
実際の製品には付属しておりません。ご注意下さい。