新世代造形大賞と、浮浪雲と金箔書房 忍者ブログ
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■去る10/1のホビーショーでは、
トークイベントにお立ち寄り頂きありがとうございました。
会場では、前回書いた以外にも注目すべき製品の数々があったのですが、
個人的には、京商さんブースでのコクピットから操作するRCシステム、
夢工場’87の再来だ!と思ったんですが、意外と誰も頷いてくれなくて悲しかったです。
 
  
■大阪芸術大学キャラクター造形学科が主催となる「新世代造形大賞」
30歳以下を対象とした、オリジナル作品のコンテストが、
11月21~23日の期間、大阪あべのハルカスの、
大阪芸術大学スカイキャンパスにて開催されます。
審査員として参加させていただくことになりました。
これまで、審査という行為がどうにも苦手で、避けがちではあったのですが、
近年、人に自分の考え方や技能を伝える機会が多くなり、
また、それを通して自分の考え方をあらためる経験も少なからずあった事から、
今回は審査員をお受けする事に致しました。
審査員それぞれに考え方は違うかと思いますが、
真剣に見て、真剣に考えて審査いたします。
会場が大阪ですので、場所柄難しい方も居られると思いますが、
30歳以下の若さで造形を行われる方は、奮ってご参加ください。
  
 
■ビッグコミックオリジナルで連載されていた、
ジョージ秋山先生の代表作「浮浪雲」がついに最終回を迎えましたね。
自分が生まれた年から連載を続けられていた、長期連載でした。
浅井は若かりし頃からジョージ秋山先生のファンなのです。
きっかけはデロリンマンでしたが、
浮浪雲は10代後半から20代にかけて、色々と苦しかった時期に、
何度となく心の力となって頂いた作品で、
随分と長い間、とあるコマのコピーを、作業机に貼り付けていました。
今でも、手塚先生の火の鳥と並んで、自分の教科書として書棚に並んでいますし、
むしろ最近になって、また救いを探すかのように読み返していた所でした。
 
浮浪雲の登場人物に、長十郎さんという人がいます。
真面目で人並みに正義感はあるけれども小者。
見栄や媚びが捨てられず、悪人では無いが愛されない。
途中、報われたかのようなシーンもありますし、登場が激減した時もあります。
また復活したかと思ったら、また報われる前の長十郎さんに戻ってしまったり。
(浮浪雲には以前の展開が無かった事になるのがよくあるのです)
読者からも人気がある存在では無かったと思いますが、
若い頃から浅井はこの人に自身を重ねて見てしまっていました。
結局、長十郎さんは大きく変わる事もなく、時に後退しつつ、
それでも初期から最後まで、登場し続けました。
自分の視点も、長十郎さんから大きくは変わらなかった気がします。
浮浪雲は44年で幕を閉じ、もう長十郎さんを見る事は無いでしょうが、
読者であった自分の人生はまだ続きます。
 
ジョージ秋山先生、長い間お疲れ様でした。
続く作品も、いつまでもお待ちしております。
 
 
■ここから、長い上にオチも無い、個人的な思い出話です。
もう三十年近く前の話になります。
浅井は15歳の時、一度高校を退学、翌年、4年制の夜間高校に再入学しており、
原型師となって最初の3年ほどは、夜間高校に通いながら原型師生活でした。
高校の最寄り駅は、大阪は京阪電車の寝屋川駅。自宅までは、電車で20分ほど。
当時お世話になっていた工房からならば、10分かからないくらい。
長い時間ではありません。
でも、自分は電車にただ座っているだけの時間がひどく苦手でした。
現在のように携帯電話も無い当時、電車の中で時間を潰すには、
本を読むことくらいしか、適当な選択肢はありません。
しかし、当時の自分に、毎日本を買う余裕は無く、足が向かうのは、古書店でした。
十代の自分でも買いやすい価格である、というのも大きな理由でしたが、
新刊を扱う書店と比べ、棚の内容が予想がつかない形に変化してゆく様が面白く、
それこそ毎日のように、何か自分の中のスイッチを押してくれる本、
……大部分は漫画でしたが、そんな本は無いかと、棚を眺め続け、
複数の古書店を歩き回りました。
 
そんな古書店の中で、最も頻繁に通っていたのが、金箔書房というお店。
あまり広くはないお店でしたが、当時はまだ開店したばかりのようで真新しく、
天井まで積み上がっていた本の山も、よく管理され、
古書店にありがちな暗さや入りづらさはありませんでした。
ご店主は、真面目そうでいて穏やかな雰囲気のある方で、
興味を引かれる本を探して、
長い時間、延々と棚を巡る自分にとっては大変居心地が良いお店でした。
駅の近くだった事もあり、一時は毎晩のように立ち寄っていたと思います。
漫画に、小説に、何か知識になりそうな専門書に、
勿論エロ漫画もいっぱい買いました。
  
電車の乗車時間が20分程度であるのに、一時間二時間と古書店を巡っていたのは、
本末転倒以外の何ものでもないと思うのですが、
この散策が、今に至る自分を形作っているのでは無いかとも感じます。
新刊を扱う書店だけでは、中々見つける事の出来ないであろう、
いくつもの作品に出会う事ができました。
先述の浮浪雲も、後年になって新刊で揃え直したものの、
最初に買い集めたのはこの時です。
もし新刊書店ならば、当時で40冊以上刊行されていた浮浪雲を、
十代の若さだった自分が手にとることは、おそらく無かったような気がします。
現在の自分は職業倫理的な思想もあって、
新刊で入手できる本を古書で買うことはほぼないのですが、
若かりし頃、古書店で延々と本を探し続ける日々が、
自分に残してくれたものは、本当に多かったのであろうと思います。  
  
浮浪雲の終了でふと思い出した、何もかもが珍しかった頃の記憶。
歳を取り、新鮮な感覚に鈍くなってゆく中で、
色々と考えさせられるのでありました。
 
 
 
 








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